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論文名 ヒトの手
論文言語 J
著者名 黒島 永嗣
所属 帝京大学医学部整形外科学講座
発行 神経心理学:29(1),56─60,2013
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要旨 手は社会や文化と深く関わっていて,このため手の変形は心的ストレスを生み,一方,他人の注意を引いたり自分を有利にするために,手は自傷行為や詐病の対象ともなりやすい.すなわち手は,人の目から「隠せそうで隠せず」また「傷つけやすく偽りやすい」.
機能面では,楽器演奏は高度の脳・上肢協調の成果である.特にプロのピアニストの奏法は,高度の省エネモードの動きの良い手本である.
手と道具を通して脳は外界を同化する.例えば顕微鏡の導入によるMicrosurgeryの成功は,たとえ微小な世界であっても視覚化されると,脳は容易に眼前の世界を同化できることを示している.また100本という少ない電極のBrain-Machine Interfaceにより,サルが思考のみでロボットハンドを操作できることが示された.これは脳機能局在論への疑義を提起し,第2の入出力装置を手領域以外の脳に直結できる可能性を示している.
Keywords 手, ブレイン―マシン・インタフェース, 演奏, 微小外科, 遠隔手術
別刷請求先 〒173-8605 東京都板橋区加賀2-11-1 帝京大学医学部整形外科学講座 黒島永嗣


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