|

Full Text of this Article
in Japanese PDF (718K)
|
論文名 |
認知症患者における嫉妬妄想の神経基盤 |
論文言語 |
J |
著者名 |
橋本 衛, 池田 学 |
所属 |
熊本大学大学院生命科学研究部神経精神医学分野 |
発行 |
神経心理学:29(4),266─277,2013 |
受付 |
|
受理 |
|
要旨 |
「配偶者,恋人が不実を働いている」と確信する嫉妬妄想の発現機序について,認知症患者を対象に考察した.認知症患者では,認知機能低下や生活障害により生じた配偶者との間の格差が,患者に配偶者への劣等感という心の痛みを引き起こす.そして「配偶者が背徳的で非難されるべき立場にある」と確信することによって心の痛みを解消しようとする試みが,嫉妬妄想を引き起こす中核的な心理過程であると考えられた.さらに,認知症による判断力低下や患者の身体合併症,配偶者の健康度なども嫉妬妄想の発現に関与する可能性が考えられた.レビー小体型認知症(DLB)では他の疾患よりも嫉妬妄想の頻度が高く,そこにはドパミン神経系の異常,幻視・誤認などのDLBに特徴的な臨床症状が強く関与していると考えられた. |
Keywords |
嫉妬妄想, 認知症, 劣等感, レビー小体型認知症 |
別刷請求先 |
〒860-8556 熊本県熊本市中央区本荘1-1-1 熊本大学大学院生命科学研究部神経精神医学分野 橋本 衛
m-hashi@kumamoto-u.ac.jp |
|