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論文名 アルツハイマー病の意味記憶障害
論文言語 J
著者名 船山 道隆
所属 足利赤十字病院神経精神科
発行 神経心理学:36(4),178─188,2020
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要旨 比較的初期から臨床上で明らかな意味記憶障害(知識の障害)を呈する意味性認知症とは異なり,アルツハイマー病では中期以降に意味記憶障害が臨床上で明らかになっていく.顕在発症から数年以上経過してから道具の意味的誤使用(概念失行)から始まり,徐々に物品や人物や食物の認知が困難となる流れが認められ,中には異食症や鏡現象にまで発展する場合がある.アルツハイマー病に伴う精神症状や行動障害の背景にはこれらの意味記憶障害を認めることが少なくない.一方で,神経心理検査課題による意味記憶の成績低下は発症初期から低下するが,その低下は意味性認知症とは異なり,意味記憶の喪失のみならず他の認知機能の低下を反映することに注意すべきである.アルツハイマー病の意味記憶障害の神経基盤は側頭葉であるが,エピソード記憶障害と関連する側頭葉内側ではなく,側頭極,下縦束,下側頭回,中側頭回であることが明らかになってきている.
Keywords アルツハイマー病, 意味記憶, 概念失行, 異食, 側頭葉
別刷請求先 〒326-0843 足利市五十部284-1 足利赤十字病院神経精神科 船山道隆 mctkfnym@gmail.com


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