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論文名 臨床症候にみる脳の変化:失書から失タイプ(dystypia)へ
論文言語 J
著者名 大槻 美佳
所属 北海道大学大学院保健科学研究院
発行 神経心理学:37(4),262─271,2021
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要旨 書字よりも,PC(personal computer)におけるキーボード打ちや,携帯/スマートフォンのテキスト入力のほうが一般的になった昨今の日常生活の変化は,臨床症候にも影響を与えている.それは,従来,書字障害を出現させる部位の損傷で,キーボード打ちの障害(タイピング障害)がみられるようになったことである.これは失語・失書・失行その他の視空間処理障害によるものでない,タイピングに特異的な障害と考えられ,dystypia(失タイプ)と命名された.病巣は,既報告では前頭葉または頭頂葉が多い.さらに,携帯/スマートフォンでテキストメッセージを作成・送信できない症候がdystextiaと称されて報告された.dystextiaはまだ十分症候として確立していないが,今後の検討が必要である.本稿では,これらの新しい症候の今日までの報告を整理する.
Keywords 失タイプ, タイピング障害, 書字障害, テキスト入力, 失書
別刷請求先 〒060-0812 札幌市北区北12条西5丁目 北海道大学大学院保健科学研究院 大槻美佳 lasteroideb612@pop.med.hokudai.ac.jp


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