論文名 |
語の意味記憶が解体された左側頭葉前部脳膿瘍の1例 |
論文言語 |
J |
著者名 |
坂井 麻里子1)2), 鈴木 則夫3), 西川 隆4) |
所属 |
1)大阪府済生会茨木病院リハビリテーション科(現:医療法人友紘会友紘会総合病院リハビリテーション科)
2)大阪公立大学大学院リハビリテーション学研究科
3)滋賀県立総合病院精神科
4)奈良学園大学保健医療学部 |
発行 |
神経心理学:38(2),144─154,2022 |
受付 |
2019年10月24日 |
受理 |
2022年4月5日 |
要旨 |
左側頭葉前部の脳膿瘍の患者にみられた軽度の言語性意味記憶障害に対し,障害の質的検討を行った.本例の理解障害の特徴は,語の派生的意味の理解障害と語の範疇的使用の障害であった.また,語の理解が困難な場合,語の一部の意味や,その語を含む慣用表現の音韻的脈絡を手掛かりとして意味を探索する代償的方略もみられた.Pattersonら(2007)のDistributed-plus-hub仮説を援用すれば,これらの所見は,損傷が及ばない脳領域のtrans-modal pathwayにより各様式の表象間の局部的連結に基づく具体的な意味記憶は喚起されるが,semantic hubである側頭葉前部の損傷によって,より広範な表象の統合を要する抽象的な語の意味記憶が解体されたものと解釈できる. |
Keywords |
左側頭葉前方部, 意味記憶, semantic hub |
別刷請求先 |
〒567-0058 大阪府茨木市西豊川町25番1号 医療法人友紘会友紘会総合病院リハビリテーション科
坂井麻里子 |