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論文名 亡くなった配偶者がまだ生きているという妄想を呈した2症例の報告―nurturing症候群の病態機序をめぐって―
論文言語 J
著者名 松田 実
所属 清山会いずみの杜診療所
発行 神経心理学:39(2),175─183,2023
受付 2023年1月16日
受理 2023年3月1日
要旨 すでに亡くなった配偶者がまだ生きているという妄想を呈した2症例を報告する.症例1,2ともに最近死別した配偶者の捜索を警察に願い出るという行動によって異常に気付かれた.ともに近時記憶障害を主体とするアルツハイマー型認知症の病像を呈していたが,症例1では右半球脳梗塞が妄想形成の一要因となっていると推測された.2症例とも配偶者の死亡を認める発言をした同じ時期に「まだ生きている」という妄想やそれに伴う行動化を呈した点が特徴的であったが,症例2は遺影を生きている故人そのものと扱うような誤認が加わっていた.Nurturing症候群の定義には混乱がみられるので整理を試みるとともに,その病態機序を考察した.
Keywords nurturing症候群, 右半球障害, 現実モニタリング障害, 情動, 孤独
別刷請求先 〒981-3111 仙台市泉区松森字下町8-1 いずみの杜診療所 松田 実 color-m@minos.ocn.ne.jp


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