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論文名 前部側頭葉と意味記憶:意味性認知症と前部側頭葉切除術の比較考察
論文言語 J
著者名 垰夲 大喜1), 西尾 慶之2)
所属 1)大阪大学大学院医学系研究科精神医学教室
2)同 連合小児発達学研究科行動神経学・神経精神医学
発行 神経心理学:40(2),126─131,2024
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要旨 双方向性失名辞は呼称と単語理解が同時に障害される状態であり,意味性認知症(semantic dementia:SD)の中核的な症状である.呼称は最も脆弱性の強い言語機能であり,優位大脳半球のATL(anterior temporal lobe)損傷および側頭葉底面損傷のいずれによっても障害される.一方,単語理解は呼称に比して頑健な機能であり,側頭葉底面~後部側頭後頭葉の広範囲損傷に伴って障害される.SDでは病初期からATLが損傷され,病期の進行にともなって側頭葉底面から後部に病変が及ぶ.病初期には呼称が優位に(時に単独で)障害され,病期の進行に従って単語理解障害が加わり,双方向性失名辞が完成する.双方向性失名辞はATL,側頭葉底面から後部,すなわち腹側視覚路前半部の広範囲損傷を反映する症状であると考えられる.
Keywords 側頭葉底面言語野, hub-and-spoke仮説, 原発性進行性失語症, 双方向性失名辞, 腹側視覚経路
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