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論文名 右優位型意味性認知症の症候学~意味記憶障害を中心に~
論文言語 J
著者名 橋本 衛1), 一美 奈緒子2), 津野田 尚子3), 佐久田 静1)
所属 1)近畿大学医学部精神神経科学教室
2)熊本大学病院医療の質・安全管理部
3)(医)医誠会メモリーメンタルクリニックみつぐまち診療所
発行 神経心理学:40(3),177─186,2024
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要旨 右優位型意味性認知症(右SD)の症候とその分類について症候学的に考察した.右側頭葉には,相貌認知を代表とする視覚性意味記憶と,情動認知や社会認知に関わる機能が局在する.一方,左側頭葉には言語性意味記憶と関連する機能が局在する.そのため,右側頭葉から萎縮が始まる右SDでは,相貌同定障害や共感性欠如などの人格行動障害が先行し,脳萎縮が左側に及ぶと言語性意味記憶障害が顕在化する.逆に,左側頭葉から萎縮が始まる左優位型意味性認知症(左SD)は,意味型進行性失語が先行し,遅れて視覚性意味記憶障害や行動障害が出現する.両者の症候の差は,左右側頭葉の機能の違いにより,各症候が出現する順番が異なるだけとみなすことができる.したがって,右SDと左SDを別々の疾患と捉えるよりも,意味記憶障害と人格行動障害を主症状とする側頭葉型FTDとして一元的に捉えるべきである.
Keywords 意味性認知症, 右優位型意味性認知症, 意味記憶障害, 行動障害
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