[第17巻第2号目次へ] Japanese/English

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論文名	情動と辺縁系─その進化論を中心に─
論文言語	J
著者名	波多野　和夫
所属	国立精神神経センター精神保健研究所老人精神保健部
発行	神経心理学：17（2），93─98，2001
受付
受理
要旨	情動と辺縁系に関わるいくつかの論点を，コミュニケーションと進化論の視点に沿って考察した．まず，この問題に対して包括的な展望を与えるLamendella（1977）の仮説の重要性を指摘してその概要を表示した．具体的には，神経心理学の臨床を通じて筆者が経験した努力性反響言語（Hadanoら，1998）とKluever-Bucy症候群（波多野ら，1984，1989，1991）の現象を取り上げ，その理解のために辺縁系を含む神経系の進化論の考え方が不可欠であることを強調した．ヒトにおける情動の多層性・多面性・多様性を指摘し，このような存在に対する考察を進めるために，情動の概念を可能な限り根元的に理解する必要を論じた．こうして，情動とは主体と世界とを結ぶ関係のあり方であるという理解を確認した．
Keywords	情動, 進化論, 努力性反響言語, Kluever-Bucy症候群, 変形過多
別刷請求先	〒272-0827　千葉県市川市国府台1-7-3　国立精神神経センター精神保健研究所老人精神保健部　波多野和夫