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論文名 頭頂―後頭葉内側部の機能と損傷例
論文言語 J
著者名 船山 道隆
所属 足利赤十字病院精神神経科
発行 神経心理学:26(1),65─76,2010
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要旨 頭頂―後頭葉内側部は,最も後方の脳梁膨大後域を除くと,近年まで研究があまりなされてこなかった.しかし,近年の脳機能画像研究によって,その機能が次第に解明されつつある.楔前部の機能には,視空間イメージ,エピソード記憶の再生,自己処理に関する操作が挙げられる.後部帯状回は,視空間や過去の記憶を参照にして,外界からの刺激や自己の行動を評価する機能があると考えられる.また,アルツハイマー病の研究からは,初期の代謝の低下は頭頂葉内側部に限定され,後部帯状回の機能低下が失見当に関わることが示されている.
今回,頭頂葉内側部損傷後に,課題遂行中に「私は今何をしている?」と,突然見当識が障害されるという興味深い症状を呈した3症例を提示した.その機序を,近年明らかになってきたdefault mode networkから推測した.
Keywords 頭頂葉内側, 楔前部, 後部帯状回, 失見当, default mode network
別刷請求先 〒326-0808 足利市本城3-2100 足利赤十字病院 船山道隆 fimndia@aol.com


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