学会誌

書誌情報

Full Text of this Article
in Japanese PDF (634K)
論文名 ミラーボックスによって体性感覚脱失が一過性に改善した右被殻出血例―体性感覚障害に対するミラーセラピーの予備的研究―
論文言語 J
著者名 高杉 潤1)2), 沼田 憲治3), 松澤 大輔1), 中澤 健1), 清水 栄司1), 小出 歩1)4), 村山 尊司1)5)
所属 1)千葉大学大学院医学研究院認知行動生理学
2)千葉県立保健医療大学健康科学部リハビリテーション学科理学療法学専攻
3)茨城県立医療大学保健医療学部理学療法学科
4)千葉県循環器病センターリハビリテーション科
5)千葉県千葉リハビリテーションセンター成人理学療法科
発行 神経心理学:26(2),164─170,2010
受付 2009年2月26日
受理 2009年6月29日
要旨 健側肢の鏡像の感覚刺激観察によって患側肢に体性感覚(referralsomaticsensation:RSS)が誘発される.しかし脳卒中後の性感覚障害例のRSS誘発後の即時的な感覚閾値の変化は明らかではない.そこで今回,右被殻出血後の左片麻痺,体性感覚脱失例に対し,ミラーボックス(MB)を用いてRSS誘発実験を試みた.結果,MB介入中,麻痺手に即時的に顕著なRSSが認められ,MB介入後,直接麻痺手に刺激すると閉眼,開眼ともに一過性の知覚が確認された.MB介入によって強度のRSSが誘発されると,visual-tactile enhancementの更なる増強と体性感覚野の一過性の持続的活動が生じたためと考えられる.脳卒中後の体性感覚障害に対するミラーセラピーの有用性を示唆する症例と考えられた.
Keywords ミラーボックス, referral somatic sensation, 被殻出血, 体性感覚脱失, ミラーセラピー
別刷請求先 〒260-0856 千葉市中央区亥鼻1-8-1 千葉大学大学院医学研究院認知行動生理学 高杉 潤 takasugi-jscn@umin.net


Copyright © 2002 日本神経心理学会 All rights reserved
http://www.neuropsychology.gr.jp/