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論文名 |
コミュニケーション機能の発達と障害 |
論文言語 |
J |
著者名 |
乾 敏郎 |
所属 |
京都大学大学院情報学研究科 |
発行 |
神経心理学:27(1),8─18,2011 |
受付 |
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受理 |
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要旨 |
高次認知機能を実現する脳内機構を理解する上で,それらの機能がどのような仕組みで発達するかを理解することは重要である.ここでは特にコミュニケーションに必要な基本機能がどのように発達してくるのかを考え,併せて発達障害の原因についても考察する.まず,胎児期における共感覚的神経構造と,頻繁に手で顔を触れるという胎児の運動に基づき,顔の視覚的図式を獲得できることを示す.このようにして得られた身体図式は,新生児が人間の顔に注意を払うという初期の顔の選好性の基礎となる.さらに新生児は随伴性の高い対象に注意を払うことが知られており,これが社会的知識の獲得の基盤機能であると考えられている.ハンドリガードはこうした随伴性の極めて高い刺激に対する注意の一種と考えられる.このような事実をふまえて,ランダムに動く自分の手を観察することで手の運動に関する順変換と逆変換を獲得し,到達運動を可能にするニューラルネットワークモデルについて説明する.最後に,さまざまな観点からコミュニケーション障害のメカニズムについて考察し,我々の提案した自閉症とウィリアムズ症候群における障害を説明可能な神経モデルについて述べる. |
Keywords |
コミュニケーション機能, 共感覚, 胎児の学習, 身体図式の獲得, 順逆変換同時学習, 到達運動, 認知発達, 自閉症, ウィリアムズ症候群 |
別刷請求先 |
〒606-8501 京都市左京区吉田本町 京都大学大学院情報学研究科 乾 敏郎
inui@i.kyoto-u.ac.jp |
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