論文名 |
右半球症状の臨床評価―半側無視症候学の発展と関連行動障害 |
論文言語 |
J |
著者名 |
種村 純 |
所属 |
川崎医療福祉大学医療技術学部感覚矯正学科 |
発行 |
神経心理学:27(2),153─159,2011 |
受付 |
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受理 |
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要旨 |
半側無視の症候には異なったレベルの諸要因が複合的に関与する.知覚レベルの問題として半側無視例は固視が困難で,半盲を伴っていなくても見かけ上は視野障害を示す.また,extinctionは他の半側無視課題に比べて無視症状検出の感度が高い.脳幹網様体賦活系の一側損傷で半側の不注意が生じる,とされる.また記憶像の自発描画課題における一側の描き落としの現象から,記憶表象レベルの無視が指摘されている.さらに動作表出における無視として一側の寡動も記載されている.代表的な半側無視課題である線分2等分,抹消課題,図形の模写のそれぞれの成績に関与する条件について述べた.右半球損傷に伴って生じる行動障害では無関心反応および感情鈍麻が顕著で,これには注意・覚醒の障害が影響している.重複性記憶錯誤,Capgras症候群,作話といった諸症状はいずれも注意,記憶,概念化の障害を背景として生じている.病態失認例は半側無視を伴い,身体空間の半側無視と捉えられる.右半球損傷者のコミュニケーション行動も特徴的で,現実認識の障害と関係している.一方感情的プロソディの障害も特徴的で,これには右半球損傷に伴う無関心反応や覚醒水準の低下が関係している. |
Keywords |
半側無視, 右半球症候群, 右半球コミュニケーション障害 |
別刷請求先 |
〒701-0193 岡山県倉敷市松島288 川崎医療福祉大学医療技術学部感覚矯正学科 種村 純
tanemura@mw.kawasaki-m.ac.jp |