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論文名 運動無視と関連症状
論文言語 J
著者名 中川 賀嗣
所属 北海道医療大学看護福祉学部
発行 神経心理学:27(4),315─325,2011
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要旨 運動無視は,患肢の低使用と,低使用が励まされることで改善することに特徴づけられる.低使用としては,単に患肢動作が欠落,減少,減弱,消去する現象と,それに健肢の多用を伴う現象が生じる.運動無視症候としては,その両者が重要と思われるが,最近では前者の現象が重視されている.前頭葉,頭頂側頭葉領域,「視床,内包,尾状核等の深部領域」損傷で対側肢に出現する.症候としてはHeilmanらは,運動無視を外的刺激に選択的に生じるakinesiaと考えている.興味深い知見としてはCastaigneらの中心回より後方領域の損傷例2例は,ともに対象物を把持(接触)している間,運動無視が消失したことがある.また同領域損傷による他の動作障害例でも,把持後(接触後)の同様の障害消失現象が報告されている.また単なる患肢動作の欠落,減少,減弱,消去症状は,間欠性運動開始困難と同じ現象なのか異なる現象なのか,また拮抗失行,観念運動失行の部分症状として出現する可能性などについては,未だ未解決な問題として検討していく必要があることを指摘した.
Keywords 運動無視, アキネジア, 間欠性運動開始困難, 拮抗失行, 観念運動失行
別刷請求先 〒061-0293 北海道石狩郡当別町金沢1757 北海道医療大学看護福祉学部 中川賀嗣 poverame@hoku-iryo-u.ac.jp


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