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論文名 Pusher症候群
論文言語 J
著者名 前島 伸一郎, 大沢 愛子
所属 埼玉医科大学国際医療センターリハビリテーション科
発行 神経心理学:27(4),326─333,2011
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要旨 Pusher症候群は非麻痺側の手足で,麻痺側の方向に押す,また倒れそうになった姿勢の修正に抵抗しようとする興味深い症状で,リハビリテーションの際にしばしば問題となる.これまでいくつかの臨床研究や実験的研究がなされてきたが,今なお十分に理解されていない.責任病巣としては,視床後部の役割が重視されているが,視床に病変を有さない症例も報告されている.Pusher症候群は失語や半側空間無視の有無にかかわらず生じる.半側空間無視が水平面での病巣と反対側への注意を向けることに原因であるのに対し,Pusher症候群では保たれた視覚と障害された垂直性の体性感覚の不一致から生じる,あるいは麻痺側の半身からの体性感覚情報を処理する高次の混乱から生じるかもしれない.このような姿勢コントロールのためにはいくつかのコンポーネントからなる神経ネットワークが必要とも考えられている.本稿ではPusher症候群の定義やその評価,半側空間無視や他の神経症状との関係,発現機序,リハビリテーションについて述べた.
Keywords Pusher症候群, 半側空間無視, 脳卒中
別刷請求先 〒350-1298 埼玉県日高市山根1397-1 埼玉医科大学国際医療センター 前島伸一郎 maeshima@saitama-med.ac.jp


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