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論文名 失語症言語治療のパラダイムシフト
論文言語 J
著者名 藤田 郁代
所属 国際医療福祉大学大学院医療福祉学研究科
発行 神経心理学:28(1),8─16,2012
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要旨 失語症の言語治療は失語症研究の進歩と言語治療に関する知識の増大によって新たな展開を迎えようとしている.本稿ではまず失語症の言語治療研究の進歩について概観し,次に認知神経心理学的アプローチの有効性について事例を提示し検討する.最後に言語機能回復に関する最近の脳画像研究について簡潔に解説する.今日,失語症の言語治療は次の点において大きく変化してきている.(1)機能回復訓練およびコミュニケーション訓練,ソーシャルモデルに基づく多彩な援助が総合的に提供されるようになった.(2)機能回復については理論的根拠に基づき仮説を設定しそれを検証する仮説検証的治療が拡がってきた.これにより単一事例研究デザイン等を用いて治療効果を実証する研究が増えてきた.認知神経心理学的アプローチはこのような治療を提供する方法のひとつである.(3)言語治療による行動変化を支える神経学的基盤の解明をめざす脳機能イメージング研究等が増えてきた.
1960年代から言語治療効果の有無を巡って多彩な論議がなされてきたが,治療効果を実証する研究が集積し,今日の臨床課題は「どのような患者に,いつ,どのような治療を行うのが最も効果的か」といった問題に対処することとなっている.
Keywords 失語症, 言語治療, 回復, 認知神経心理学的アプローチ, 脳機能画像
別刷請求先 〒107-0062 東京都港区南青山1-3-3 青山1丁目タワー4F 国際医療福祉大学大学院医療福祉学研究科 藤田 郁代 ifujita@iuhw.ac.jp


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