論文名 |
日常記憶課題と一般的近時記憶課題の成績に乖離が見られる認知症症例の検討 |
論文言語 |
J |
著者名 |
下條 由衣1), 伊原 武志2), 佐藤 卓也3), 佐藤 厚3), 今村 徹1)4) |
所属 |
1)新潟医療福祉大学医療技術学部言語聴覚学科
2)総合リハビリテーションセンターみどり病院リハビリテーション部言語聴覚療法科
3)新潟リハビリテーション病院リハビリテーション部言語聴覚科
4)同 神経内科 |
発行 |
神経心理学:28(1),66─72,2012 |
受付 |
2011年5月6日 |
受理 |
2011年6月17日 |
要旨 |
【目的】物忘れ外来のための日常記憶課題(Everyday memory task for memory clinic:EMT-MC)の得点と一般的な近時記憶課題であるAlzheimer's Disease Assessment Scale(ADAS)の10単語即時再生課題の成績に乖離がみられる症例を検討する.【対象】物忘れ外来を初診してアルツハイマー病あるいはレビー小体を伴う認知症と臨床診断され,EMT-MCとADASを施行した95症例.初診時平均年齢79.6±6.3歳.平均MMSE得点18.1±4.3.【方法】ADASの単語再生課題の成績を独立変数,EMT-MC得点を従属変数とする回帰分析を施行し,得られた回帰直線と単語再生課題の成績から予測されるEMT-MC得点の80%信頼区間上限よりも実際のEMT-MC得点が高かった症例をEMT-MC良好群とした.EMT-MC良好群とその他群との間で患者属性,疾患属性,認知機能属性を分散分析またはχ2検定で比較検討した.【結果】EMT-MC良好群はその他群よりもADASの構成課題と見当識課題の成績が有意に良好であった.【結論】一般的近時記憶課題の成績と比較して日常記憶障害が良好な症例では,比較的保たれた視覚認知機能や見当識が日常記憶を補助していると考えられる. |
Keywords |
日常記憶, 物忘れ外来, 認知症, EMT-MC, 一般的近時記憶課題 |
別刷請求先 |
〒950-3198 新潟市北区島見町1398 新潟医療福祉大学大学院保健学専攻言語聴覚学分野 今村 徹
imamura@nuhw.ac.jp |