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論文名 意味記憶~意味記憶と語義失語~
論文言語 J
著者名 船山 道隆
所属 足利赤十字病院精神神経科
発行 神経心理学:28(2),116─123,2012
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要旨 意味記憶障害,特にsemantic dementiaは,語義失語を伴うことが多い.しかし,語義失語はsemantic dementiaを伴わずに出現することもある.本稿では,語義失語3症例を提示し,意味記憶障害と語義失語の関係を概観した.1例目はsemantic dementiaであり,意味記憶障害が背景にある語義失語例である.2例目は前頭側頭葉変性症の初期の語義失語であり,机上の意味記憶検査で成績の低下を認め,日常生活上では意味記憶障害を示唆する所見はほとんど認められなかった例である.3例目は脳血管障害による左側頭葉に限局した病巣によって出現した語義失語例であり,日常生活上も検査でも意味記憶における異常を認めなかった.
語義失語を呈しても,意味記憶障害の程度は,日常生活で明らかなレベル,日常生活では目立たず検査上で検出されるレベル,検査上でも検出できないレベルと,様々な水準がある.語義失語は,記号である語彙項目とリファレントである意味記憶との間に双方向性に記号変換(coding)の障害が存在すれば出現する.
Keywords 語義失語, 意味性認知症, 意味記憶障害
別刷請求先 〒326-0808 栃木県足利市本城3-2100 足利赤十字病院 船山道隆 Fimndia@aol.com


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