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論文名 |
緩除進行性にBálint症候群と形態視障害を併発し人物の追視とアイコンタクトのみ可能であった1症例 |
論文言語 |
J |
著者名 |
柿木 由理子 |
所属 |
札幌山の上病院 |
発行 |
神経心理学:28(4),257─265,2012 |
受付 |
2011年1月6日 |
受理 |
2011年10月27日 |
要旨 |
頭頂後頭葉に限局した脳萎縮を示し,背側系障害である眼球運動障害と,腹側系障害である形態視の障害が併発することにより,特有の視覚認知障害を生じたと考えられるposterior cortical atrophy(PCA)症例1例を2年間観察・検討した.眼球運動は,意識的にも自動的にもコントロールされるが,本症例は,不全型Bálint症候群を呈し,一般の物体の追視が困難であった.しかし,アイコンタクトが固視・追視共に可能であった.また,症状が進展し,形態視全般が不能となった2年経過後には,さらに人物追視が他の一般物体の追視と乖離して可能な現象を認めた.本症例の特徴的現象から,視覚的な情景の中における人物や顔の中にある目を,視覚的意識を伴わず判別する能力が存在することが示唆された.本症例に観察された現象は頭頂後頭葉の変性の過程において,目や人物を追視する原始的機能が開放され出現した可能性が考えられた. |
Keywords |
PCA, バリント症候群, アイコンタクト, 盲視, 上側頭溝 |
別刷請求先 |
〒063-0006 北海道札幌市西区山の手6条9丁目1-1 札幌山の上病院診療部 柿木由理子
yamanoue@alles.or.jp |
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