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論文名 どのように呼称障害は回復するのか?―トライアングル・モデルの枠組みを用いた失名辞の実験的研究―
論文言語 J
著者名 佐藤 ひとみ1), 岩村 友莉2), 浅川 伸一3)
所属 1)浴風会病院リハビリテーション科
2)菊名記念病院リハビリテーション科
3)東京女子大学現代教養学部
発行 神経心理学:29(2),143─156,2013
受付 2011年3月15日
受理 2012年11月8日
要旨 「呼称は,意味と音韻の相互作用による」というトライアングル・モデルの観点から,失名辞失語患者TKの意味機能と音韻機能を経時的に評価し,発症1~5カ月時のTKの呼称能力を,刺激語の単語属性を操作・統制した2つの呼称実験により追跡した.1)音韻障害と呼称障害の改善が共起し,2)意味性錯語が音韻キューにより消失,3)回復に伴い音韻キュー効果は高くなり,4)発症2カ月時までは意味カテゴリー効果(人工物>生物)が認められたが,5)呼称成績の予測に一貫して寄与したのは単語頻度であった.これらの結果から,TKの呼称障害は音韻機能の低下に起因し,その回復は脆弱化していた音韻表象の再活性化によると考えられた.認知モデルによるTKの呼称障害の説明を試み,失名辞の症状理解と臨床アプローチへの示唆について議論した.
Keywords 呼称障害, 回復過程, 失名辞失語, 音韻障害, トライアングル・モデル
別刷請求先 〒168-8535 東京都杉並区高井戸西1-12-1 浴風会病院リハビリテーション科 佐藤ひとみ hitomi.sato@hotmail.co.jp


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