[第29巻第3号目次へ] Japanese/English

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論文名	書字時に意図と異なる右手の動きを訴えた脳梁幹後端・膨大後部白質を含む右側頭後頭葉内側梗塞の1例
論文言語	J
著者名	丸山　志織1）, 鈴木　麻衣子2）, 高橋　裕子2）, 長沼　文雄3）, 今村　徹1）
所属	1）新潟医療福祉大学医療技術学部言語聴覚学科 2）鶴谷病院リハビリテーション科 3）同　循環器内科
発行	神経心理学：29（3），192─202，2013
受付	2010年3月16日
受理	2013年2月22日
要旨	症例は82歳右利き女性．脳梁幹後端・脳梁膨大部白質を含む右側頭後頭葉内側に脳梗塞を発症後，右半球症候群として左半側空間無視，注意障害，構成障害，相貌失認，陽性視覚症状（幻視，変形視）を，また脳梁離断症候群として，交差性触点定位障害，左手の触覚呼称障害，拮抗失行が見られ，さらに軽度のBàlint症候群を伴っていた．失語症状は見られず読字も正常であったが，書字では漢字，仮名ともに書取，写字で重度に障害されており，空間性失書，純粋失書，構成失書が見られた．しかし，本症例には上記の3つの失書では説明することのできない書字の際の意図と異なる右手の動きにより，書字が崩れる反応がみられた．症例本人はこの動きに違和感と自己への非所属感を有していた．この右手の症状は拮抗失行，右手の道具の強迫的使用とは異なっており，conflict of intentionsとは一致する点と異なる点があった．
Keywords	conflict of intentions, 脳梁離断症候群, 拮抗失行, 純粋失書, 構成失書
別刷請求先	〒950-3198　新潟市北区島見町1398番地　新潟医療福祉大学医療技術学部言語聴覚学科　今村　徹 imamura@nuhw.ac.jp