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論文名 Short Fluctuations Questionnaire(SFQ):認知機能障害の重症度別にみた妥当性と認知機能変動の重症度指標としての可能性の検討
論文言語 J
著者名 小関 翔子1), 永島 敦子2), 市野 千恵3), 佐藤 卓也3), 今村 徹1)4)
所属 1)新潟医療福祉大学医療技術学部言語聴覚学科
2)日立総合病院リハビリテーション科
3)新潟リハビリテーション病院リハビリテーション部言語聴覚科
4)同 神経内科
発行 神経心理学:29(3),203─211,2013
受付 2013年1月15日
受理 2013年4月5日
要旨 【目的】レビー小体型認知症(Dementia with Lewy bodies:DLB)の重要な症状である認知機能変動を評価するShort Fluctuations Questionnaire:(SFQ)について,以下を検討する.(1)認知機能障害の全般重症度ごとのSFQの感受性と特異性.(2)SFQ得点が認知機能変動の重症度を反映するのでSFQ得点が高いほど認知機能変動の陽性検出率が上昇するという仮説の検証.【対象】新潟リハビリテーション病院神経内科外来を初診したAD患者199名とDLB患者40名.AD患者およびDLB患者について,SFQとは独立した行動神経内科医が認知機能変動の有無を評価し,変動「あり」群と変動「なし」群に分類した.【方法】SFQは各患者の初診時に,信頼できる同居家族を対象として言語聴覚士が施行した.(1)MMSEが11点以上の症例をMMSE得点によって層別化し,変動「あり」群,「なし」群についてSFQの感受性と特異性を検討した.(2)症例全体,DLB群のみ,及びAD群のみを対象として,変動「あり」または「なし」を従属変数,SFQ得点を独立変数とするlogistic回帰分析を行った.【結果】(1)MMSE得点によって層別化した各層でSFQの感受性,特異性ともにほぼ同等であった.(2)症例全体,DLB群,AD群のいずれにおいても,logistic回帰分析でSFQ得点に有意なオッズ比が得られた.すなわち,SFQ得点が高いほど認知機能変動の陽性検出率が有意に高かった.【結論】(1)SFQの妥当性は,MMSEが11点以上の軽度から中等度の認知機能障害患者であれば認知機能障害の全般重症度に影響されないことが示された.このことより,SFQがDLBの早期診断のための有用な手段であると考えられる.(2)SFQは認知機能変動の有無だけではなくその重症度も評価している可能性がある.今後SFQ得点を用いることで認知機能変動の重症度に関連する要因の検討が可能かもしれない.
Keywords SFQ, 認知機能変動, レビー小体型認知症, アルツハイマー病
別刷請求先 〒950-3198 新潟市北区島見町1398 新潟医療福祉大学大学院保健学専攻言語聴覚学分野 今村 徹 imamura@nuhw.ac.jp


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