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論文名 着衣障害(dressing disability)の臨床徴候
論文言語 J
著者名 山本 潤1)2), 前田 眞治1), 小暮 英輔1), 櫻井 好美1)
所属 1)国際医療福祉大学大学院医療福祉学研究科保健医療学専攻リハビリテーション学分野
2)厚木市立病院リハビリテーション室
発行 神経心理学:29(3),212─222,2013
受付 2012年12月28日
受理 2013年7月26日
要旨 自験例および本邦文献例37例を対象に,着衣障害の出現形式の記載から,「視覚認知エラー」,「操作エラー」,「手順エラー」の3つに分け,その発現機序を明らかにすることを試みた.視覚認知エラーは,衣服の「方向性」,「形態把握」そして「自己身体との照合」の要素をもつ徴候,操作エラーは,「衣服単独」と「衣服―身体図式関連」の要素をもつ徴候として捉えた.手順エラーは,「ワーキングメモリ」や「注意監視を伴うフィードバック機構」も含まれる遂行機能障害に関連する徴候と考えられた.その中で,「視覚認知エラー」が最も多く検出されたのは,着衣動作開始時のエラーであるためと考えられた.また半側空間無視70%,構成障害62%など多彩な神経心理学的症状の合併を認めた.
以上より着衣障害は,単独に出現する各徴候に加え,複数の徴候の組合せからなる「症候群」としても捉えられる現象であると考えたい.
Keywords 着衣障害, 脳血管疾患, エラー分析
別刷請求先 〒243-8588 神奈川県厚木市水引1-16-36 厚木市立病院リハビリテーション室 山本 潤 jun_and7@yahoo.co.jp


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