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論文名 物盗られ妄想
論文言語 J
著者名 福原 竜治, 池田 学
所属 熊本大学大学院生命科学研究部神経精神医学分野
発行 神経心理学:29(4),257─265,2013
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要旨 物盗られ妄想は,認知症に生じる妄想の中では頻度の高い妄想内容の一つである.物盗られ妄想では,患者は財布や通帳などの身近な大切な物がとられると訴え,盗む相手は長男の嫁や隣人など周囲の特定の人物であることが多く,統合失調症における妄想とは異なり,複雑に体系化することは少ないという比較的均一な内容の妄想である.物盗られ妄想の発現機序として,脳の局在症状にその成因の一部を求める画像研究はいくつかあるが,関与する脳部位は研究の間で一致していない.多くの画像研究では右半球や前頭葉の機能低下と関連しているとされ,これらによる病識や現実検討力の低下などが妄想発現に関わると解釈されているが,なぜ他人に盗られたという妄想的解釈になるのかは明らかでない.物盗られ妄想を生じさせる固有の要因について,脳の器質的変化だけでなく,病前性格や現在の生活環境など心理社会的背景など多方面からの検討が必要と思われる.
Keywords BPSD, 物盗られ妄想, アルツハイマー病, 脳機能画像解析
別刷請求先 〒860-8556 熊本県熊本市中央区本荘1-1-1 熊本大学医学部附属病院神経精神科 福原竜治


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