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論文名 言語機能における島の役割
論文言語 J
著者名 大槻 美佳
所属 北海道大学大学院保健科学研究院
発行 神経心理学:30(1),30─40,2014
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要旨 言語機能における島の役割を既報告,島の組織学・解剖学的な背景,島損傷の自験例の検討から考察した.その結果,島の損傷と失構音,音韻性錯語,単語理解障害の間には明らかな関係は認めないと考えた.島の周囲には,様々な要素的言語症状の責任病巣が存在するため,島とそれらの部位を連絡する神経線維が損傷されれば,関連する要素的言語症状が出現すると考えられた.一方,島全般が損傷された場合に,近傍部位の損傷による要素的言語症状とは考えられない症状として,特異な形式性錯語が認められた.それは単語レベルの理解障害や呼称障害がない場合でも認められ,訂正反応はなく,繰り返され,また左側損傷時のみにみられ,語彙回収時に出現した.これらの特徴は,言語の運用に関係する基本的な機能の障害という側面と,言語に特異な機能の障害である側面の両者を持っていると考えられた.この両面性が島損傷による言語症状の特徴ならば,島は言語の運用に関わる基本的な機能と,言語に特異な機能を結ぶ役割をしている可能性が推測される.
Keywords 島, 形式性錯語, 言語障害
別刷請求先 〒060-0812 札幌市北区北12条西5丁目 北海道大学大学院保健科学研究院 大槻美佳 lasteroideb612@pop.med.hokudai.ac.jp


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