[第31巻第1号目次へ] Japanese/English

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論文名	患者群による臨床研究と神経心理学
論文言語	J
著者名	森　悦朗
所属	東北大学大学院医学系研究科高次機能障害学分野
発行	神経心理学：31（1），42─46，2015
受付
受理
要旨	単一症例あるいは症例シリーズに基づく症例研究は従来神経心理学の研究の代表的な形態であったが，その限界は交絡因子に対する脆弱性と結果の汎化が困難なことにある．一方，患者群を用いた症例対照研究やコホート研究が増加しつつあり，そのような研究デザインは結果の妥当性を上げるだけではなく，神経心理学の範囲を拡大する．神経心理学にそのような研究デザインを適用することで神経心理学の研究範囲を拡大することができる．特に，認知症における神経心理学的研究は神経心理学の可能性を拡大した．そこでは脳局所に関してall or noneではなくmore or lessの損傷を持つ患者を対象にしている．統計的脳画像解析が適用するという点で明らかに有利である．認知機能ばかりではなく行動症状も研究対象とできる．このような利点とともに患者群に基づく神経心理学研究における限界と懸念をも議論した．
Keywords	研究デザイン, 神経心理学, コホート研究, 症例対照研究
別刷請求先	〒980-8575　仙台市青葉区星陵町2-1　東北大学大学院医学系研究科高次機能障害学分野　森　悦朗 morie@med.tohoku.ac.jp