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論文名 反復性のパレイドリアをきたしたレビー小体型認知症患者の1例
論文言語 J
著者名 横井 香代子1)2), 西尾 慶之2), 内山 信3), 森 悦朗2)
所属 1)山形県立保健医療大学保健医療学部作業療法学科
2)東北大学大学院医学系研究科高次機能障害学
3)新潟医療福祉大学医療技術学部言語聴覚学科
発行 神経心理学:31(2),136─143,2015
受付 2013年2月14日
受理 2014年8月18日
要旨 入院中に「向かいの建物の屋上に老女が居る」と繰り返し訴えたレビー小体型認知症患者の視覚症状について検討した.「老女」は病室向かいの建物の屋上に実在するタンクが契機となって出現していたことから,この知覚錯誤は幻視ではなくパレイドリアと呼ばれる複雑錯視であると考えられた.
DLBで一般に認められる幻視と同様に患者のパレイドリアは生き生きとした具体性を有しており,DLBの幻視やパレイドリアの発現には知覚錯誤対象に対する誤った実在感の付与および洞察の欠如が関与している可能性が示唆された.塩酸ドネペジル服薬後に患者の幻視およびパレイドリアは著明に改善し,それと並行して過去の知覚錯誤に対する正しい洞察が生まれた.これらの所見から,アセチルコリンが知覚体験への洞察および実在感の付与に関連している可能性が示唆された.
Keywords パレイドリア, 幻視, アセチルコリン
別刷請求先 〒990-2212 山形市上柳260番地 山形県立保健医療大学保健医療学部作業療法学科 横井香代子 kyokoi@yachts.ac.jp


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