[第31巻第2号目次へ] Japanese/English

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論文名	固有名詞漢字の音読が保たれた失読失書の1例
論文言語	J
著者名	宇杉　竜一1）2）, 国吉　和昌1）, 石内　勝吾2）
所属	1）友愛会南部病院 2）琉球大学大学院医科学研究科脳神経外科学講座
発行	神経心理学：31（2），144─154，2015
受付	2012年4月3日
受理	2015年1月28日
要旨	これまで全失語でも固有名詞の理解は保たれやすい事が報告されているが，失読失書症例に対して，固有名詞と普通名詞の読みの検討は行われてこなかった．今回，失読失書に腹側型同時失認が合併した72歳男性の症例に対し，品詞別の読みの検査を実施した．症例の音読と聴覚-文字対応は，普通名詞（漢字・仮名），動詞，仮名無意味語は困難であったが，漢字表記の固有名詞は普通名詞と比較し，有意に良好であった（p＜0.001）．固有名詞は文字音韻変換規則に則った処理よりも文字列全体として音韻や指示対象との対応が処理されると考えられ，従来から報告されている左頭頂後頭領域を中心に介する経路とは異なる経路の関与が示唆された．
Keywords	失読失書, 腹側型同時失認, 固有名詞, 音韻処理
別刷請求先	〒901-0362　沖縄県糸満市字真栄里870番地　社会医療法人友愛会南部病院　宇杉竜一