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論文名 右前頭葉内側面損傷により漢字の純粋失書を呈した1例―誤り方および文字特性との関連からの分析―
論文言語 J
著者名 坂井 麻里子1)2), 鈴木 則夫3), 柏木 敏宏4), 西川 隆2)
所属 1)恩賜財団大阪府済生会茨木病院リハビリテーション科
2)大阪府立大学大学院総合リハビリテーション学研究科
3)滋賀県立成人病センター老年内科
4)中谷病院
発行 神経心理学:31(3),204─212,2015
受付 2014年4月7日
受理 2015年3月19日
要旨 右前頭葉内側面損傷により漢字の純粋失書を呈した1症例について,失書の発現機序を検討した.漢字の誤り方の特徴として,無反応に次いで形態性の誤りが多かった.漢字の書字の成否は画数ではなく,構成要素数の多さと関係し,錯書の場合は構成要素が他の漢字の構成要素に置換されることが多く,そのほとんどが実在する構成要素を組み合わせていた.他の言語機能に問題がなかったことから,本例の漢字の失書は,音韻の配列や意味から文字形態を想起する過程は終盤近くまで保たれているが,最終段階における構成要素の選択と配置の誤りによって生じているものと考えられた.右前頭葉内側面,特に一連の動作の継起的順序づけに重要である前補足運動野の障害との関連が推測される.
Keywords 漢字失書, 右前頭葉内側面, 漢字構成要素
別刷請求先 〒567-0035 大阪府茨木市見付山2丁目1-45 恩賜財団大阪府済生会茨木病院リハビリテーション科 坂井麻里子 reha@ibaraki.saiseikai.or.jp


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