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論文名 虚記憶を創り出す:細胞集成体理論を基として
論文言語 J
著者名 井ノ口 馨
所属 富山大学大学院医学薬学研究部生化学講座
発行 神経心理学:32(1),3─9,2016
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要旨 記憶が脳に蓄えられる仕組みについて,ここ20年ほどの間に多くのことが分かってきた.ある経験をしたときに活動した特定の神経細胞集団(細胞集成体,あるいはセルアセンブリと呼ぶ)という形で,記憶は符号化され脳内に蓄えられる.何らかのきっかけで,同じ神経細胞集団(記憶痕跡細胞)が再活動するとその記憶が想起される.光遺伝学を適用しマウスの神経細胞集団の活動を自在に操る技術を用いて,独立した二つの体験の記憶を人為的に連合させて嘘記憶を形成させることができるようになった.虚記憶形成の回路メカニズムの解明により,臨床症状としてのさまざまな記憶障害発症の仕組みが理解できるようになると期待される.
Keywords セルアセンブリ(細胞集合体), 記憶痕跡, 光遺伝学, 人工記憶, 文脈性恐怖条件付け学習
別刷請求先 〒930-0194 富山市杉谷2630 富山大学大学院医学薬学研究部生化学講座 井ノ口馨 inokuchi@med.u-toyama.ac.jp


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