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論文名 虚を実と確信するメカニズム:妄想性誤認に対する臨床神経心理学的検討
論文言語 J
著者名 高倉 祐樹1)2), 大槻 美佳3), 中川 賀嗣4)
所属 1)医療法人秀友会札幌秀友会病院リハビリテーション科
2)北海道大学大学院保健科学院
3)同 保健科学研究院
4)北海道医療大学リハビリテーション科学部言語聴覚療法学科
発行 神経心理学:32(1),31─43,2016
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要旨 「シェーバーに携帯機能がついている」という妄想性誤認を呈した1例に対する臨床神経心理学的検討を報告し,その病態機序を考察した.携帯がもつ価値の本質は「他者との関係性とその履歴」にあると考えられ,本例は携帯という「物品」に対してではなく,携帯によってコミュニケーションが可能となる「人物」に対しての「親和感の変容」を来していた可能性を指摘した.さらに,本例における誤認の訂正不能性の要因として,エピソード記憶領域の虚記憶のみならず,特定の意味記憶領域における虚記憶が関与していた可能性が示唆された.最後に,妄想性誤認という特異的な病態も,神経心理学的な探求の対象となりうる可能性について指摘した.
Keywords 妄想性誤認症候群, 自己の神経病理, 重複記憶錯誤, 親和感, 虚記憶
別刷請求先 〒006-0805 北海道札幌市手稲区新発寒5条6丁目2番1号 札幌秀友会病院リハビリテーション科 高倉祐樹 f390@shuyukai.or.jp


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