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論文名 日本語話者の認知特性,日本語の文型,そして失語症セラピーの背景理論 ―「リアル/バーチャル」という視点から―
論文言語 J
著者名 小嶋 知幸1)2)
所属 1)武蔵野大学大学院人間社会研究科
2)市川高次脳機能障害相談室
発行 神経心理学:32(2),155─164,2016
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要旨 デカルトの方法的懐疑によって,精神と物質という疑い得ない2つのリアルが明らかにされた結果,「精神(主観)はいかにして対象(客観)に一致しえるのか」という解きがたい難問が残された.いわゆる心身問題である.本稿ではこれをバーチャル/リアル図式で捉える.大脳病理学領域においてブローカやウェルニッケが活躍した19世紀中葉における思想の潮流である実証主義においても,バーチャル(観察)/リアル(世界)二項対立が存在していた.一方,マッハから着想を得たフッサールの現象学は,直接経験こそが疑いえないリアルであるとすることでバーチャル/リアル二項対立の超克を試みた.ところで,日本語における事象の捉え方,すなわち「何かが自然にそうなる」という発想と,それに規定される日本語の基本文型に,現象学的視点を看て取ることが可能と思われ,さらに,そこから,日本語の失語症セラピーにおける文産生訓練の理論づけの可能性が示唆される.
Keywords リアル, バーチャル, 心身問題, 現象学, 日本語の失語症セラピー
別刷請求先 〒202-8585 東京都西東京市新町1-1-20 武蔵野大学大学院人間社会研究科 小嶋知幸 t_kojima@musashino-u.ac.jp


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