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論文名 頭部外傷後に重複記憶錯誤を呈した1例―臨床経過と脳血流変化に関する考察
論文言語 J
著者名 樫林 哲雄1), 数井 裕光2), 和田 佳子1), 徳増 慶子1), 横山 和正1)
所属 1)兵庫県立リハビリテーション西播磨病院
2)大阪大学大学院医学系研究科精神医学教室
発行 神経心理学:32(3),239─247,2016
受付 2015年6月12日
受理 2015年9月10日
要旨 本症例は脳挫傷による前向性健忘,逆向性健忘,前頭葉症状を呈した.治療の経過で場所の定位障害が残存し,リハビリテーションで正しい現在地を再学習するうちに場所の見当識に混乱が生じて,重複記憶錯誤が出現した.頭部MRIで認められた障害部位は左上前頭回下部,右下前頭回で,IMP-SPECTではこれらの部位に加えて,後部帯状回の取り込み低下を認めた.重複記憶錯誤消失前後でIMP-SPECTを比較したところ左上前頭回下部,右下前頭回に加えて後部帯状回の血流も改善していたことから,重複記憶錯誤の出現に前頭葉と後部帯状回の機能低下が関与していることが示唆された.
Keywords 重複記憶錯誤, 後部帯状回, 前頭葉機能障害, 頭部外傷, トップダウン処理
別刷請求先 〒679-5165 兵庫県たつの市新宮町光都1丁目7番1号 兵庫県立リハビリテーション西播磨病院認知症疾患医療センター 樫林哲雄 t_kashibayashi@hwc.or.jp


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