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論文名 前頭葉病変による読み書き障害
論文言語 J
著者名 東山 雄一, 田中 章景
所属 横浜市立大学医学部神経内科学・脳卒中医学
発行 神経心理学:32(4),278─289,2016
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要旨 人類の最も偉大な発明の一つである文字言語は,単なるコミュニケーション手段の一つという枠組みを超え,文化の伝承や文明の発達にこれまで重要な役割を果たしてきた.このような現代社会において,文字言語の障害である失読や失書が日常生活に与える影響は,以前に比べてますます大きなものとなっている.“Exnerの書字中枢”とも呼ばれる左中前頭回後部の損傷により純粋失書が生じることは古くから知られていたが,症例報告の蓄積や脳機能画像研究の結果から,その重要性は近年再認識されている.ところが,複雑な書字過程の中でこの脳領域が担う実際の役割については不明な点が多く,書記素から書字運動への変換プロセスや,書字情報を一時的に保持する作動記憶,書記素表象と書字動作の運動企図のインターフェイスとしての機能など諸説あり,いまだ結論は出ていない.本項では前頭葉損傷による書字障害を中心に,前頭葉病変と読み書き障害について,その歴史的な背景から最近の知見についての概説を行う.
Keywords 前頭葉, 失書, 失読, 書字中枢
別刷請求先 〒236-0004 神奈川県横浜市金沢区福浦3-9 横浜市立大学附属病院神経内科 東山 雄一 higashiy@yokohama-cu.ac.jp


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