[第33巻第2号目次へ] Japanese/English

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論文名	目標語の音想起は困難だがモーラ数想起や長短弁別が可能な健忘失語の1例
論文言語	J
著者名	渡部　宏幸1）, 古木　ひとみ1）, 原　寛美2）, 今村　徹3）
所属	1）相澤病院リハビリテーションセンターST部門 2）桔梗ヶ原病院高次脳機能リハビリテーションセンター 3）新潟医療福祉大学大学院保健学専攻言語聴覚学分野
発行	神経心理学：33（2），135─141，2017
受付	2015年9月24日
受理	2016年9月27日
要旨	目標語の音想起は困難だがモーラ数想起や長短弁別が可能な健忘失語の1例を報告した．症例は35歳，右利き女性．頭部MRIにて左中側頭回に血腫除去術後の出血性梗塞を認めた．本例の失語症状は，喚語障害にほぼ収束していた．呼称場面における主な誤反応は，語想起困難による無反応か語性錯語であった．しかし，本例ではそのような誤反応時に，音節構造・韻律情報といった語の枠組みの選択が可能であったと示唆される特徴がいくつかみられた．すなわち，（1）目標語の音想起が困難であっても，語の長短弁別判断やモーラ数想起がある程度可能なこと，（2）目標語と音韻的関連が高く，モーラ数の一致した形式性錯語や混合性錯語となることである．本例の所見から，呼称の処理過程には音の取り出しと平行して語のモーラ数もしくは語の大体の長さを選択するプロセスが存在することが示唆された．
Keywords	健忘失語, 語想起困難, モーラ数想起, 形式性錯語, 混合性錯語
別刷請求先	〒980-8575　仙台市青葉区星陵町2-1　東北大学大学院医学系研究科高次機能障害学分野　渡部宏幸 watanabe.h@med.tohoku.ac.jp