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論文名 アルツハイマー病とレビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies:DLB)における誤認妄想:連続症例を対象とした検討
論文言語 J
著者名 安中 美穂1), 加藤 梓1), 佐藤 卓也2), 今村 徹1)3)
所属 1)新潟医療福祉大学医療技術学部言語聴覚学科
2)新潟リハビリテーション病院リハビリテーション部言語聴覚科
3)同 神経内科
発行 神経心理学:33(2),142─153,2017
受付 2016年5月20日
受理 2016年10月24日
要旨 物忘れ外来を初診したアルツハイマー病(AD)およびレビー小体型認知症(DLB)連続症例(AD 291,DLB 56)の誤認妄想を比較検討した.Neuropsychiatric Inventory(NPI)施行時に情報提供者の述べる患者の訴えの内容をそのまま記録し,先行研究で定義された誤認と妄想の各症状に後方視的に分類した.誤認症状の因子分析ではAD群,DLB群ともに誤認因子と記憶錯誤因子が得られたので,両群の両因子について,該当群,非該当群間で,患者属性,疾患属性,認知機能属性を比較検討した.AD群では誤認の各症状のほとんどで頻度は3%以下であった.DLB群では多くの症状でAD群より有意に頻度が高く,人物誤認,場所の誤認,実際はいない身内が家にいる,の3症状では15%以上であった.両群の両因子において,該当群の近時記憶課題の成績が有意に低下していた.認知機能の全般重症度が軽度から中等度の連続症例を対象としても,誤認妄想がDLBの特徴であることが示され,近時記憶障害がADとDLBに共通する誤認妄想の基盤の一つであることが示唆された.
Keywords 誤認妄想, レビー小体型認知症, アルツハイマー病, 近時記憶障害, 前頭葉機能障害
別刷請求先 〒950-3198 新潟市北区島見町1398 新潟医療福祉大学大学院医療福祉学研究科保健学専攻言語聴覚学分野 今村 徹 imamura@nuhw.ac.jp


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