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論文名 仮名単語が読めて仮名一文字が読めない仮名の失読および失書の1例
論文言語 J
著者名 大石 如香1)2), 永沢 光3), 鈴木 匡子1)
所属 1)山形大学大学院医学系研究科高次脳機能障害学
2)新潟医療福祉大学言語聴覚学科
3)山形県立中央病院神経内科
発行 神経心理学:34(1),63─73,2018
受付 2016年6月21日
受理 2017年5月22日
要旨 仮名一文字と仮名単語の読みが乖離した左後大脳動脈領域梗塞による失読および失書例の読み書き障害について検討した.読みでは仮名・漢字とも単語では保たれていたが,仮名一文字と仮名非単語に選択的な失読を認め,なぞり読みは無効だった.音節に対応した仮名一文字の指示も低下していた.書取では仮名一文字と漢字単語で低下がみられた.仮名一文字の失読および失書を呈し,読めない文字と書けない文字が共通していたことから,仮名文字のイメージの脆弱性が示唆された.逐字読みを特徴とし,単語をまとめて読むことができない古典型純粋失読とは対照的に,本例では仮名一文字の読みの困難を単語全体の形態イメージで補う全体読みが可能と考えられた.
Keywords 失読, 仮名一文字, 文字失読, 全体読み, 後頭葉損傷
別刷請求先 〒950-3198 新潟県新潟市北区島見町1398番地 新潟医療福祉大学言語聴覚学科 大石如香 oishi@nuhw.ac.jp


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