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論文名 常同行動に及ぼす意味記憶障害の影響について―意味性認知症例の行動観察より―
論文言語 J
著者名 清水 秀明1), 小森 憲治郎2), 豊田 泰孝3), 吉田 卓3), 越智 紳一郎1), 森 崇明1), 池田 学4)
所属 1)愛媛大学大学院医学系研究科精神神経科学講座
2)十全ユリノキ病院心理室
3)財団新居浜病院精神科
4)大阪大学大学院医学系研究科精神医学
発行 神経心理学:35(4),225─237,2019
受付 2017年11月27日
受理 2019年8月30日
要旨 典型的な語義失語像を呈した54歳右利き男性の意味性認知症例の経過中,全般的な能力は保たれていたが,意味記憶障害の進展に伴い,当初は目立たなかった常同行動の出現を認めた.「休職中に早朝から用紙作成のために会社の複写機を独占する」と社会的行動障害を認めたが,行動異常型前頭側頭型認知症よりも強迫的であった.固執的な常同行動の背景に,語義失語による語彙の喪失に対する自覚とそれに伴う不安から対処行動に対する強迫化の傾向,意味記憶障害の進行に伴う対象の意味理解の狭小化と言語に関連する実行機能障害による行動目標の狭小化,早期から現れる他者視点の消失と次第に強まる自己の障害への無関心の3要素の関与を推定した.
Keywords 意味性認知症, 意味記憶, 語義失語, 常同行動, 側頭葉前方部
別刷請求先 〒791-0295 愛媛県東温市志津川 愛媛大学大学院医学系研究科精神神経科学講座 清水秀明 shimizu.1685@gmail.com


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