[第36巻第3号目次へ] Japanese/English

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論文名	妄想性誤認症候群（delusional misidentification syndrome）
論文言語	J
著者名	村井　俊哉
所属	京都大学大学院医学研究科・脳病態生理学講座（精神医学）
発行	神経心理学：36（3），102─108，2020
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要旨	精神医学・神経学の領域で「誤認またはmisidentification」とみなされている症状は数多いが，その代表はCapgras症状と重複記憶錯誤である．もともと両者は別々の文脈で報告されてきたが，1980年以降，研究者は両症状の共通性を強調し，他の類似症状を含め妄想性誤認症候群として総括するようになった．しかし，この包括概念が拡張されすぎた結果，互いの関連が疑わしい多様な症状が「誤認またはmisidentification」に含まれる事態に至っている．個別症例の症状理解の際には，まずその論理構造を明らかにした上で，その症状が，認知機能障害，損傷部位，基礎疾患とどのように関係しているのか，と問う筋道が，合理的な戦略であろう．
Keywords	Capgras症状, 重複記憶錯誤, 妄想性人物誤認症候群
別刷請求先	〒606-8507　京都市左京区聖護院川原町54　京都大学大学院医学研究科・脳病態生理学講座（精神医学）　村井俊哉 murai@kuhp.kyoto-u.ac.jp