|
Full Text of this Article
in Japanese PDF (91K)
|
論文名 |
Semantic Dementia―物品の認知と使用に関する実験的検討― |
論文言語 |
J |
著者名 |
池田 学 |
所属 |
愛媛大学医学部神経精神医学教室 |
発行 |
神経心理学:18(1),16─20,2002 |
受付 |
|
受理 |
|
要旨 |
Semantic Dementia(SD)11例について,生物と人工物の写真を刺激とし,その色,大きさ,形を変えた標的写真をfoil写真とともに提示して,各例が同一物ないし同種の物と認識できるかどうかを検討した.その結果,半数の例で,同種であるが形が異なる場合のみならず,角度が異なる場合や色が異なる場合も“同じもの”と認識できず,大きさが異なる場合のみ正しく認識できることが明らかになった.この傾向は,即時の再認条件よりも,遅延条件の方がより顕著となった.この障害は,右側頭葉優位の萎縮例でより顕著であった.次いで,SD 8例に,実物品を用いて,呼称,指示,単一物品使用,複数物品使用,意味連合課題,類似課題,および範疇化課題を実施した.その結果,全例に呼称と指示の障害がみられ,さらに左優位の萎縮を呈する例のうち初期の2例を除き,単一物品使用の障害に加え,実物品を用いた上記すべての課題に重篤な障害を認めた.このことから,物品の概念に関する意味記憶は,少なくとも両側側頭葉に分布しており,どちらかといえば右側頭葉に偏って貯蔵されている可能性が示唆された. |
Keywords |
意味性痴呆, 意味記憶, 物体認知, 物品使用, 側頭葉 |
別刷請求先 |
〒791-0295 温泉郡重信町志津川 愛媛大学医学部神経精神医学教室 池田 学 |
|