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論文名 意味痴呆患者における手続き記憶─意味記憶と手続き記憶の関連─
論文言語 J
著者名 川合 寛子1), 望月 聡1), 緑川 晶2), 河村 満3)
所属 1)東京大学大学院総合文化研究科生命環境科学系認知行動科学, 2)中央大学文学研究科, 3)昭和大学医学部神経内科
発行 神経心理学:18(2),76─83,2002
受付 2001年6月11日
受理 2001年11月14日
要旨  意味痴呆患者を対象に手続き記憶の検討を行い,意味記憶と手続き記憶との関連について考察した.発症以前に獲得した既知の手続き記憶検査として物品使用検査を行った.患者はドライバーなど日常的に使われない物品を使用できなかった.新奇の手続き記憶として行った3種類の課題では,いずれも獲得可能であった.しかし,保持検査では5試行中,第1試行目において所要時間が増加する傾向を示した.手続き記憶は長期間保持されているが,記憶の取り出しに時間がかかったと考えられる.
 患者は一貫して,しばらく使われることのなかった手続き記憶をうまく取り出すことができなかった.意味記憶は,活性化される機会の少ない手続き記憶を円滑に表出する役割を担っていると考えられる.
Keywords 意味痴呆, 意味記憶, 手続き記憶, 物品使用
別刷請求先 〒153-8902 東京都目黒区駒場3-8-1 東京大学大学院総合文化研究科生命環境科学系認知行動科学 望月(川合)寛子


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