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論文名 半側空間無視─新たなメカニズム論と無視改善への手がかり─
論文言語 J
著者名 石合 純夫
所属 東京都神経科学総合研究所リハビリテーション研究部門
発行 神経心理学:18(3),182─187,2002
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要旨  半側空間無視(以下,無視)について,課題の遂行過程の分析から,方向性注意に重点を置いた新しいメカニズム論に迫ることを試みた.方向性注意は,外界と個体との関係の中で意識を適切な対象に集中し,また移動していく能動的側面を持ち,知覚と運動との密接な関連がある.例えば,能動的に注意を向けた空間の知覚と運動機能は促進され,運動や知覚処理が遂行されている空間へ注意が向きやすくなる.半側空間無視における知覚―運動相互作用は,注意の右への偏りに伴い,通常,身体または対象の右側に偏って機能していると考えられる.しかし,右側の視覚情報に基づく左側への交叉性反応等により,左空間の表象と探索が喚起されると,むしろ左方に偏って機能する場合があり得る.また知覚と運動の方向を解離させにくい点も問題と考えられた.このような注意の方向性と過剰な知覚―運動相互作用を変化させて無視を改善させる可能性があるプリズム順応(Rossetti et al,1998)の研究を紹介した.
Keywords 半側空間無視, メカニズム, 改善
別刷請求先 〒183-8526 府中市武蔵台2-6 東京都神経科学総合研究所リハビリテーション研究部門 石合 純夫


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