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論文名 発話の脳内機構:錯語と保続
論文言語 J
著者名 三宅 裕子
所属 神戸市立中央市民病院リハビリテーション科
発行 神経心理学:19(1),15─21,2003
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要旨  錯語の産生過程における保続の関与について検討した.対象は呼称検査で保続が大きく関与すると考えられる特異な錯語を呈した8例である.錯語の特徴から次の2群に分けた.A群:音の枠組みが保続として出現した4症例,B群:語の引き出しや語の形成において意味性の保続が出現した4症例である.A群では音韻の選択や配列に関わる語の音韻形成過程に,B群では意味野もしくは意味野からの語彙の選択過程に保続が生じたことにより錯語を呈したと推察した.今回は症例数も多くなく,境界鮮明な病変を有する例が少ないために,結果の一般化には慎重でなければならないが,この検討からは少なくとも,音韻性保続が左側頭葉病変と,意味性保続が左基底核部病変と何らかの関係を有する可能性が示唆された.
Keywords 錯語, 意味性保続, 音韻性保続, 側頭葉, 基底核
別刷請求先 〒650-0046 神戸市中央区港島中町4丁目6番地 神戸市立中央市民病院リハ科 三宅裕子


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