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論文名 麻痺の無認知
論文言語 J
著者名 前島 伸一郎, 大沢 愛子
所属 和歌山県立医科大学リハビリテーション科
発行 神経心理学:19(2),77─86,2003
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要旨  Joseph Babinski によって病態失認“anosognosia”という言葉が提唱されて以来100年を経た.しかし今なお,その責任病巣や発現機序については推測の域を出ない.頭頂葉下部,前頭葉や側頭葉などの脳表に加え,間脳・辺縁系,基底核・皮質下病変の存在が責任病巣として重視されている.また脳幹病変や脳萎縮合併例も報告され,病態失認について論じる際には,局在病変のみならず,年齢や全体的な脳萎縮の程度,脳循環動態を踏まえて考慮すべきであろう.
 発現機序に関しては,古くより体性感覚情報の統合機能障害や身体図式の障害説,線維連絡離断説,防衛的心因反応説,意識混濁説などがあったが単一の機序では説明が困難であった.また感覚障害や半側空間無視,身体無認知による不完全なフィードバック説,運動予測機構障害説,作話反応説ならびにこれらの折衷説などが提唱され,いくつかの異なる部位での複数の異なる要因が関与しているものと思われる.また,本稿ではリハビリテーションの見地からその診断法やアプローチについて紹介した.
Keywords 病態失認, 病態無関心
別刷請求先 〒641-0012 和歌山市紀三井寺811-1 和歌山県立医科大学リハビリテーション科 前島伸一郎


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