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論文名 視床下部胚細胞腫により発現した前向性健忘の1例
論文言語 J
著者名 水田 秀子1), 元村 直靖2), 藤本 康裕3)
所属 1)市立伊丹病院リハビリテーション室
2)大阪教育大学健康科学
3)市立伊丹病院脳神経外科
発行 神経心理学:16(4),224─230,2000
受付 2000年3月2日
受理 2000年5月17日
要旨 頭蓋内原発胚細胞腫により選択的な記憶障害を呈した30歳,右利き男性例を報告した.本症例では自己の病態への洞察の欠如,作話,人格変化等を認めなかった.知能及び前頭葉機能検査は正常であった.前向性健忘は言語性・視覚性の双方に著明に認められたが,再認は良好であった.また,日々のエピソードは比較的よく保存されていたが,それを時間軸に沿って記憶・再生することができなかった.逆向性健忘はほとんど認められなかった.病変は,視床下部,乳頭体,下垂体茎部,脳弓前半部,両側第三脳室周囲からモンロー孔にかけて認められた.視床下部の開放性の外傷により記憶障害を呈したDusoirら(1990)の症例との類似性を指摘し,視床下部損傷の意義を強調した.
Keywords 健忘, 視床下部, 乳頭体, 前脳基底部, Korsakoff症候群
別刷請求先 〒664-8540 兵庫県伊丹市昆陽池1-100 市立伊丹病院リハビリテーション室 水田秀子


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