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論文名 左前頭葉病変によるmicrographia(小字症)
論文言語 J
著者名 毛束 真知子1), 河村 満2)
所属 1)東京都老人医療センター 言語聴覚科
2)昭和大学病院 神経内科
発行 神経心理学:17(1),26─35,2001
受付 1999年8月18日
受理 2000年6月27日
要旨 左前頭葉病変で右手にmicrographiaを呈した症例(43歳,右利き女性)を報告した.1992年9月,脳膿瘍の開頭除去術を受け,右半身運動障害(軽度),失語症(非流暢型軽度),記憶障害が生じたが,これらの症状は順調に回復した.1993年3月書字が徐々に小さくなり,大きく書こうとしても書けないのに気づいた.神経学的には極く軽度の右半身運動麻痺がみられたが,固縮,振戦などのパーキンソン症状は認められない.文字は書きだしから小さく,文字形態は崩れない.線引き,空書,包丁使用など書字以外の右手の運動にもある程度の運動制限がみられたが,書字運動ほど著明ではなかった.本症例では,書字動作においてある一定以上の筋緊張を維持できないためにmicrographiaが生じた可能性がある.症状の発現は術後半年を経過してからであり,症状完成までにも時間を要したことから,本症例の場合,中前頭回皮質下の病変によって遅発性に機能的な変化が生じ,書字運動に関する前頭葉―大脳基底核系の機能不全を来してmicrographiaが発現した可能性が高いと思われる.
Keywords 小字症, 脳膿瘍, 左前頭葉病変
別刷請求先 〒204-0023 清瀬市竹丘3-10-5 東京都職員共済組合清瀬病院 毛束真知子


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