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論文名 前頭葉―基底核系と記憶~パーキンソン病における記憶研究からの考察~
論文言語 J
著者名 丸山 哲弘
所属 飯田市立病院内科
発行 神経心理学:17(3),175─184,2001
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要旨 大脳基底核が担う機能は感覚―運動の調節であることに異論はないが,近年その精神機能につても注目される.その究明への一つの糸口として,基底核変性疾患であるパーキンソン病の認知機能研究があげられる.本疾患における認知機能障害の成因は,根本的には黒質-線条体ドパミン系の機能不全であるが,実際に数多くの研究が示すように前頭葉機能異常が関与している.また,大脳基底核と他の脳部位との神経線維連絡から考えてみても,基底核の精神活動への役割について論じるためには前頭葉機能をなくしては語れない.したがって,パーキンソン病の認知機能を本テーマのように前頭葉―基底核系の立場からとらえ,特にそのドメインを記憶にしぼり,筆者らが行ってきた幾つかの神経心理的実験を通して考察した.検討した記憶課題は,顕示記憶であるリスト学習,前頭葉性記憶である展望記憶とワーキングメモリ,手続き記憶(潜在記憶)である感覚-運動スキル学習である.いずれも興味ある結果を得ることができたが,これらの実験から得られたメカニズムを今後は神経生物学的に証明する必要がある.
Keywords 前頭葉, 大脳基底核, パーキンソン病, 顕示異記憶, 展望記憶, ワーキングメモリ, 感覚―運動スキル学習
別刷請求先 〒395-8502 飯田市八幡町438 飯田市立病院内科 丸山哲弘


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