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論文名 空間的注意の時空間的分布に関する定量的研究視空間認知障害を示すアルツハイマー病患者における検討
論文言語 J
著者名 松本 絵理子1)2)3), 今村 徹2)*, 石井 一成4), 森 悦朗2), 宮内 哲1)
所属 1)独立行政法人通信総合研究所 関西先端研究センター 脳機能グループ
2)兵庫県立高齢者脳機能研究センター 臨床研究科
3)京都大学大学院人間・環境学研究科
4)兵庫県立高齢者脳機能研究センター 画像研究科
現所属 新潟医療福祉大学医療技術学部言語聴覚学科
発行 神経心理学:17(3),201─212,2001
受付 2000年12月1日
受理 2001年3月26日
要旨 本研究では視覚性注意障害が明らかなAD例において,視線の移動を伴う実験条件下での空間性注意の分布を定量的に検討した.症例は59歳の右利き男性で,視覚性注意の障害,空間定位の障害を呈するprobable Alzheimer diseaseである.MRIおよびPETより左頭頂後頭葉優位の萎縮および局所脳糖代謝低下があった.コンピュータ画面上の任意の位置に瞬間呈示された数字を検出する課題を行い,正答率を指標として本例の注意の分布を検討した結果,本例の視覚性注意は身体の正中正面より左側空間に偏っており,軽度の右半側空間無視傾向がみられた.また視線を移動させた条件の結果から,注意の分布は注視点位置には影響されにくく体軸を基準とした体外空間の左に偏っていたことが示された.この結果より本例の視覚性注意の障害には自己身体に基づいた身体外空間認知の障害が関与していると考えた.
Keywords 視覚性注意, 時間的・空間的分布, アルツハイマー病
別刷請求先 〒651-2492 兵庫県神戸市西区岩岡町岩岡588-2 通信総合研究所関西先端研究センター脳機能グループ 松本絵理子


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