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論文名 健忘症例における単純呈示効果の検討
論文言語 J
著者名 菅 弥生1), 望月 聡1), 河村 満2)
所属 1)東京大学大学院総合文化研究科生命環境科学系認知行動科学
2)昭和大学医学部神経内科
発行 神経心理学:17(4),241─247,2001
受付 2000年12月4日
受理 2001年5月7日
要旨 単純呈示効果(単純接触効果)とは,新たに経験するものよりも以前に経験したものの方を好む現象であり,心理学では古くから知られている概念であるが,脳損傷例を対象とした研究はほとんどない.本研究では,前向性健忘を有する2例(前脳基底部損傷例および両側海馬病変例)に対して,無意味図形を用いて単純呈示効果の有無を検討した.両症例ともに,既に呈示された図形の再認が不可能であったにもかかわらず,新奇な図形と比較して呈示された図形をより好んだ.健忘症例において単純呈示効果が認められたことは,この効果が顕在記憶系を必要としないことを示している.さらに,健常者との比較から,単純呈示効果は経験した図形を再認できる場合よりも再認できない場合の方が大きいことが示唆された.
Keywords 閾下単純呈示効果, 前向性健忘, 顕在記憶
別刷請求先 〒153-8902 東京都目黒区駒場3-8-1 東京大学大学院総合文化研究科生命環境科学系認知行動科学 菅 弥生


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