[第17巻第2号目次へ] Japanese/English

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論文名	注意障害を呈した多発性硬化症の一例
論文言語	J
著者名	古川　綾子1）, 佐々木　浩三1）, 網本　和1）＊, 白石　眞2）, 杉原　浩2）
所属	1）聖マリアンナ医科大学病院ハビリテーション部 2）聖マリアンナ医科大学神経内科 ＊現東京都立保健科学大学理学療法学科
発行	神経心理学：17（2），130─138，2001
受付	2000年2月29日
受理	2000年11月14日
要旨	多発性硬化症により注意障害を呈した症例を経験した．MRI-FLAIR画像にて軽度脳室拡大を伴い，両側放線冠と視床を中心とした皮質下白質に多発性の高信号域を認めた．知的機能は比較的良好に保持されていたにもかかわらず，学業や生活上で様々な困難を呈した．本症例の障害は，多発性硬化症にしばしば認められる疲労や精神運動緩慢の影響だけでは充分に説明できず，神経心理学的検査において，複数の処理を交互ないし同時に行う複雑な認知処理が必要な課題で著明低下を認めたことから，注意機能の中でも分配性注意（divided attention）の低下が考えられた．分配性注意は，注意制御が関連するより高次の注意機能であり，ワーキングメモリーの中央制御部の機能低下の関与も推察された．
Keywords	多発性硬化症, 分配性注意, ワーキングメモリー
別刷請求先	〒216-8511　川崎市宮前区菅生2-16-1　聖マリアンナ医科大学病院リハビリテーション部　古川綾子